n. 大天使ガブリエルから長老アブラハムに贈られ、メッカに保存された巨大な石のこと。ひょっとしたら、長老は大天使にパンを求めたのかもしれない*。
*「ルカによる福音書」11:11――「あなた方のうちのどの父親が,自分の息子がパンを求めているのに石を与えるだろうか」。電網聖書参照のこと。
n. 人の頭と同じくらいの大きさと賢さを備えたお馴染みの菜園野菜。
一般的に、キャベツの由来はキャベジアスという、王位についたとたん、先代に仕えた大臣と王宮菜園のキャベツをメンバーとする帝国最高議会の開催を布告した王子からと言われている。何か陛下の失策が明らかになると最高議会のメンバー数人の首を切るという重々しい公布がだされ、臣民の不満は鎮められたのだった。
n. 並々ならぬ明瞭さで、この世のものごとは思い通りにならないということに気付かせてくれるもの。災難には2とおりある。ひとつは我が身の不幸、もうひとつは彼が身の幸福。
adj. 他人が害悪に悩まされるのに耐えうる大いなる不屈の精神を天与された。
ゼノン*は自分の政敵のひとりが逝ってしまったことを聞き、深い衝撃を受けたように見えた。
「なんと!」と、弟子のひとりが言う。「先生は敵の死に涙を流すのですか?」
「おお、そうとも」とこの偉大なるストア派哲学者は言った。「だがきみは、わしが友の死に微笑むところをやがてみることだろう」
*Zeno [BC340?-BC265?] ギリシャの哲学者。ストア学派の開祖。アテネの会堂(stoa)で講義を行った。「飛ぶ矢は静止している」「アキレスは亀に追いつけない」などの逆理で有名。ストア学派といえば、ふつう禁欲的・非感情的をモットーとする(要するに「ストイック」ね)。
n. 「スクール・フォー・スキャンダル」*の卒業生。
*Richard Brinsley Sheridan [1751-1816] の喜劇らしい。わたくしめは内容を存じておりません。あと、CALUMNUS という単語そのものがビアスの造語みたいだな。
n. ショービジネスにとって大きな価値を持つ四足獣(Splaypes humpidorsus)。ラクダには2種類あって、一つは適切なラクダ (camel proper) とも呼ばれるフタコブラクダであり、もう一つはヒトコブラクダである。展示されてるのは、常に適切でないラクダなのだ。
n. プレ豚食期の単純な味覚と自然食品への賛意を保っている旧学派の健啖家。
n. 国境線の誤りを修正するのに使われる器具。
n. 天国の宮廷道化師が着ているまだら染めの服。
n. 悪政の台座。火と鍋と食事と食卓とナイフとフォークとを無政府主義者に与えるところ。かれらは食事のさい、かならず食前の罵りをささげる。 Capital Punishment [極刑] その正当性とご都合主義さかげんに、あらゆる価値ある人物――殺し屋を含む――が深刻な不安を抱いている刑罰のこと。
n. カルメル山の修道会の托鉢僧。
G.J.As Death was a-rising out one day, Across Mount Camel he took his way, Where he met a mendicant monk, Some three or four quarters drunk, With a holy leer and a pious grin, Ragged and fat and as saucy as sin, Who held out his hands and cried: "Give, give in Charity's name, I pray. Give in the name of the Church. O give, Give that her holy sons may live!" And Death replied, Smiling long and wide: "I'll give, holy father, I'll give thee -- a ride." With a rattle and bang Of his bones, he sprang From his famous Pale Horse, with his spear; By the neck and the foot Seized the fellow, and put Him astride with his face to the rear. The Monarch laughed loud with a sound that fell Like clods on the coffin's sounding shell: "Ho, ho! A beggar on horseback, they say, Will ride to the devil!" -- and _thump_ Fell the flat of his dart on the rump Of the charger, which galloped away. Faster and faster and faster it flew, Till the rocks and the flocks and the trees that grew By the road were dim and blended and blue To the wild, wild eyes Of the rider -- in size Resembling a couple of blackberry pies. Death laughed again, as a tomb might laugh At a burial service spoiled, And the mourners' intentions foiled By the body erecting Its head and objecting To further proceedings in its behalf. Many a year and many a day Have passed since these events away. The monk has long been a dusty corse, And Death has never recovered his horse. For the friar got hold of its tail, And steered it within the pale Of the monastery gray, Where the beast was stabled and fed With barley and oil and bread Till fatter it grew than the fattest friar, And so in due course was appointed Prior.
adj. 気の弱い菜食者、その後継ぎ、および相続人を貪るという残酷さに病みつきになっている。
adj. デカルト*に関連する。デカルトはかの有名な格言 Cogito ergo sum
を著した人物であり、これにより人間の存在のリアリティを実証したと思いこんで喜んでいた。とはいえ、この格言はこのようにして改善できるかもしれない。すなわち、Cogito cogito ergo cogito sum ――「我思うと我思う故に我ありと我思う」と。これにより、いままでいかなる哲学者も到達しえなかったほどの確実性への接近をなしうることができよう。
*Rene Descartes (1596-1650) フランスの哲学者・数学者・物理学者。引用部分は「方法序説」(山形浩生訳)より。
n. 柔らかくて壊れることのないからくり人形のことで、家庭内のものごとがうまくいかないときに蹴飛ばせるよう自然が授けてくれたもの。
ElevensonThis is a dog, This is a cat. This is a frog, This is a rat. Run, dog, mew, cat. Jump, frog, gnaw, rat.
n. 我らが独自の仕事の批評家。
n. 会葬者が嘘を競い合い、詩人が的を狙ってネタを書き、石工が賭金のために字をつづる、郊外に孤立した場所。下記の碑文は、このオリンピック競技が成し遂げた成果を説明するのに役に立つであろう:
故人の徳はたいそう際立っていたため、その敵たちには認められることなく否定され、また友人たちには、それによって自らの弛んだ生活を戒められることを恐れられ、悪徳だとみなされた。だが、かの徳はここでともに分かち合う家族たちの祝福を受けた。
我らが幼きクレアの眠る場所 ここなる我ら、地中にこしらえるThomas M. and Mary FrazerP.S. ― 大天使ガブリエルがこの子を育まんことを
n. 自分の殻に閉じこもり、罪深い不正行為について思いをめぐらす人。そして、そのことを忘れないようにするため、悪の実例に同胞として加わる人。
Quincy GilesO Cenobite, O cenobite, Monastical gregarian, You differ from the anchorite, That solitudinarian: With vollied prayers you wound Old Nick; With dropping shots he makes him sick.
n. 分業があのひどい差別に移行するより前に生きたひとの種族で、「一人一馬」という古代の経済原則にしたがっていた。数多いケンタウロスのうちもっともすぐれた人物はカイロンで、馬並みの叡智と美徳のうえに、人並みの俊敏さを備えていた。聖書における洗礼者ヨハネの斬首の物語は、異教徒の神話が聖なる歴史にいくらかの影響を与えた証拠である。
*上半身が人間、下半身が馬という姿をした伝説上の存在。
n. 地獄の番犬。その入り口の警備を職務とする――誰に対して、あるいは何に対して守っているのかはよく分からないが。だって、だれもがみな遅かれ早かれそこに行かなければならないのだし、誰一人としてその入り口を通りたがる者などはいないはずだ。ケルベロスは首が3つあると考えられており、また一部の詩人は百の首を持つと信じている。グレイビル教授は、その学者らしい雑学とギリシャへの深い造詣から、各評価を平均し、27という意見を発表した――ここから判断される結論的と思われるものは以下の通り。グレイビル教授は (a) 犬のことを多少知っていた (b) 算数を多少知っていた。
n. 人生の一期間の事で、白痴としての幼年時代と愚行に満ちた青年時代の間に位置する。そして、罪深き中年時代から1コマ、後悔しきりの老年時代から2コマ隔てられている。
n. 新約聖書は聖なるインスピレーションによって書かれた本であり、隣人の霊的な必要にふさわしいと考えている人。キリストの教えに原則としてしたがうが、自分の罪深い生活と矛盾するときはそのかぎりではない人。
G.J.I dreamed I stood upon a hill, and, lo! The godly multitudes walked to and fro Beneath, in Sabbath garments fitly clad, With pious mien, appropriately sad, While all the church bells made a solemn din -- A fire-alarm to those who lived in sin. Then saw I gazing thoughtfully below, With tranquil face, upon that holy show A tall, spare figure in a robe of white, Whose eyes diffused a melancholy light. "God keep you, strange," I exclaimed. "You are No doubt (your habit shows it) from afar; And yet I entertain the hope that you, Like these good people, are a Christian too." He raised his eyes and with a look so stern It made me with a thousand blushes burn Replied -- his manner with disdain was spiced: "What! I a Christian? No, indeed! I'm Christ."
n. ウマやポニーやゾウなどが、紳士や淑女や子どもたちによる道化芝居を見ることを許される場所。
n. ある種の人物。通例女性。パトロンには見えないものを見る力がある。つまり、そのパトロンがぼんくらであるであるということを。
n. 耳に綿をつめた人物によって扱われる楽器的拷問具。ふたつ、クラリネットよりもつらい拷問具がある――2本のクラリネットが。
n. 我々の霊的な事柄の管理にたずさわることで、自分自身の現世的な事柄を改善するひと。
n. ミューズ九神の一。クリオは歴史の進行をつかさどる――クリオが威厳をもって進行させたその歴史において、講壇の席はアテネの卓越した市民たちで満席であり、クセノフォン氏、ヘロドトス氏その他人気ある演説者が演説を繰り広げたものだった。
n. 人間にとって精神的に大きな価値のある機械。いかに長い時間がこの先残されているかを気づかせることによって将来への不安を軽減する。
A busy man complained one day: "I get no time!" "What's that you say?" Cried out his friend, a lazy quiz; "You have, sir, all the time there is. There's plenty, too, and don't you doubt it -- We're never for an hour without it."
Purzil Crofe
adj. いま手にしている、そして数多くの功績ある人々が欲しがっているものをむやみに死守しようとしている。
Anita M. Bobe"Close-fisted Scotchman!" Johnson cried To thrifty J. Macpherson; "See me -- I'm ready to divide With any worthy person." Sad Jamie: "That is very true -- The boast requires no backing; And all are worthy, sir, to you, Who have what you are lacking."
n. 隣人の不安をじっくりと眺めることから生み出される精神状態。
n. 自分の功績と等しいとはいえないもののよく似ている功績に対しておくる賛辞。
n. AがBからCの品物を奪い取る一方、BはDのポケットからE名義の金銭を掠め取るという取引の一形態。
n. 行政上の実在物のことで、数えようもないほどおびただしい政治的寄生虫どもによって運営されている。この寄生虫は必然的に活動するが、偶発的にしか成果をあげない。
K.Q.This commonwealth's capitol's corridors view, So thronged with a hungry and indolent crew Of clerks, pages, porters and all attaches Whom rascals appoint and the populace pays That a cat cannot slip through the thicket of shins Nor hear its own shriek for the noise of their chins. On clerks and on pages, and porters, and all, Misfortune attend and disaster befall! May life be to them a succession of hurts; May fleas by the bushel inhabit their shirts; May aches and diseases encamp in their bones, Their lungs full of tubercles, bladders of stones; May microbes, bacilli, their tissues infest, And tapeworms securely their bowels digest; May corn-cobs be snared without hope in their hair, And frequent impalement their pleasure impair. Disturbed be their dreams by the awful discourse Of audible sofas sepulchrally hoarse, By chairs acrobatic and wavering floors -- The mattress that kicks and the pillow that snores! Sons of cupidity, cradled in sin! Your criminal ranks may the death angel thin, Avenging the friend whom I couldn't work in.
n. 対立する主張を調整すること。たとえば対立者同士が、得られるとはかぎらなかったものは得たし、とうぜん与えるべきもの以外は何も奪われなかったと考えて満足すること。
n. 力による雄弁。
v.i. 同情を集めることは、肉親に先立たれることよりもつらいことだと教えること。
n. Bの秘密をAから打ち明けられ、それをCに漏らす人物。
n. 嫉妬心をていねいにあらわす言葉。
n. 法律の無効化を心に期す人々の集まり。
n. あることについてはすべてのことを知っているが、それ以外のことは何も知らない専門家。
一人の老いた酒飲みが鉄道旅行中に衝突事故に巻き込まれた。何かのワインが唇に滴り落ちてきて彼はよみがえった。「ポウリアックの1873年もの」そう呟いて老人は息を引き取った。
n. 既存の悪に惚れこんだ政治家。リベラルという、既存の悪を他の悪とすげかえようとする政治家とは区別される。
n. すぐれた人間が自分より不幸であることを知ること。
n. アメリカの政治では、市民から役職を確保してもらうことができなかったために、国外に出るという条件付で政府から役職を世話してもらう人のこと。
v.i. すでに決まってしまったものごとについて他人の非難を捜し求めること。
n. 手ごわすぎて対立すると危険がみこまれる敵に対して分別ある人が抱く感情。
n. 唾かインクを、有害な大砲や無慈悲な銃剣の代わりに用いる戦闘。
Conmore Apel BruneIn controversy with the facile tongue -- That bloodless warfare of the old and young -- So seek your adversary to engage That on himself he shall exhaust his rage, And, like a snake that's fastened to the ground, With his own fangs inflict the fatal wound. You ask me how this miracle is done? Adopt his own opinions, one by one, And taunt him to refute them; in his wrath He'll sweep them pitilessly from his path. Advance then gently all you wish to prove, Each proposition prefaced with, "As you've So well remarked," or, "As you wisely say, And I cannot dispute," or, "By the way, This view of it which, better far expressed, Runs through your argument."Then leave the rest To him, secure that he'll perform his trust And prove your views intelligent and just.
n. ぶらぶらしているという悪徳について深く考える暇がほしくなった女性の隠遁所。
n. 小さな精神的商品を陳列するための物産展。どの出展者も自分の商品の配置に手一杯で、隣のブースの商品など見ていない。
n. 外面的で可視的なしるしをもって王者に神聖不可侵な権利を与えるセレモニー。神聖不可侵といっても、ダイナマイト一発で空高く飛んでゆくものなのだが。
n. 軍隊梯子の最下段に居座る男。
Giacomo SmithFiercely the battle raged and, sad to tell, Our corporal heroically fell! Fame from her height looked down upon the brawl And said: "He hadn't very far to fall."勢いをます戦の猛り、言うも悲しきことながら、 美しく崩れ落ちるは我らが伍長! 高みより騒ぎを見下ろす名声曰く、 「落ちたとて、さほどに高くはあるまいが」
n. 個人的責任を問われることなく個人的利益を得るための天才的なしくみ。
n. 海の政治屋。
n. 原告。
n. 危険にさらされたときに足で考えるひと。
n. ロブスターと非常によく似た小型甲殻類。ただし、消化には悪め。
この小さな魚のことを、私は人間の英知がみごとな形で象徴化されたものだと考える。というのも、ザリガニは後ろにしか動けず、過去を回想することしかできず、過ぎ去った危険のことにばかり目を向けており、そして人間の英知では、進路を取り巻く愚行を避けきれないし、ただ自らの運命を後になって気づくことしかできないからだ。Sir James Merivale
n. フィナンシャル海峡*の向こうに住む獰猛な部族の一員で、その草木も生えないほどに荒廃させる襲撃ぶりから非常に恐れられている。
*Financial Straits, 普通名詞だと「財政的苦境」。
n. コネティカット製の高価なバイオリン。
n. 自分にとりいることのむずかしさを鼻にかけるひと。それはだれもとりいろうとしないからなのだが。
Orrin GoofThere is a land of pure delight, Beyond the Jordan's flood, Where saints, apparelled all in white, Fling back the critic's mud. And as he legs it through the skies, His pelt a sable hue, He sorrows sore to recognize The missiles that he threw.
n. 古代宗教のシンボル。誤って、キリスト教の歴史でいちばん重大なできごとと関連づけて考えられているが、本当の話、そこから数千年はさかのぼることができるのだ。古代の男根崇拝の crux ansata と同一のものと広く信じられているが、我々の知識範囲を超えたところ、原始人の儀式にまで由来を尋ねることができる。現在、我々は白十字を貞節のシンボルとし、赤十字を戦争時の慈悲深い中立組織のバッジとしている。前者を念頭において、ガッサラスカ・ジェイプ師は以下にあげる詩を竪琴をかき鳴らしながら歌っている:
"Be good, be good!" the sisterhood Cry out in holy chorus, And, to dissuade from sin, parade Their various charms before us. But why, O why, has ne'er an eye Seen her of winsome manner And youthful grace and pretty face Flaunting the White Cross banner? Now where's the need of speech and screed To better our behaving? A simpler plan for saving man (But, first, is he worth saving?) Is, dears, when he declines to flee From bad thoughts that beset him, Ignores the Law as 't were a straw, And wants to sin -- don't let him.
Latin この俺様にどう役立つというのか?
*ただし、「何の役に立つか」という誤用をされることもある。
n. 才能。これの多寡が弱い動物・人物と強い動物・人物とをわけへだてる。所有者に大きな精神的満足と、すさまじい物質的不幸をもたらす。イタリアのことわざにいわく、「毛皮商はロバの毛皮よりも狐の毛皮を手に入れたがる」と。
n. いわゆる愛の神。この、野卑な空想のたわけた産物は、間違いなく神々の過失よって神話に押しつけられたものである。美しくもなく適当でもないあらゆる着想のうち、もっとも不合理で不愉快なのがこいつだ。性愛を中性的な赤ん坊で象徴し、情熱の切なさを矢の傷で対比するという発想――その微妙な精神や行為の暗示を目に見える形で実現するためにこのずんぐりした小僧を芸術に持ちこもうとすること――まったく、子を産んでは金持ちの戸口に捨てるというこの時代にはじつにふさわしい。
n. 女性の嫌悪すべき精神的特質。ある女性がこれで呪われていないかどうか知りたがるのは、もっとも活動的で貪欲な漢の情熱である。
v.t. 言葉のハリセンを振りまわしつつエネルギッシュに論じること。一種の作戦であり、文学、とくに戯曲では、通例、被害者の命にかかわる。それでもやはり、ののしられやすいという特質は、生命保険のレートにはごくわずかな修正しかもたらすことのないリスクなのだが。
n. 欠陥のある視力でものごとを、こうあるべきだというふうにではなく、ありのままに見てしまう愚連隊。それゆえ、スキタイ人の間では、皮肉屋の両眼をえぐりだして視力を矯正するという習慣がある*。
*「マタイによる福音書」5:29――「もしあなたの右目があなたをつまずかせるなら,それをえぐり出して捨て去りなさい」。電網聖書参照のこと。