書庫
『遺跡調査報告』
遺跡は地上と地下の二重構造になっている。地上部分の中央には、地下へ通じる祭壇がある。これは、各遺跡共通の構造だ。
地下には水が満たされ、光がまったく入ってこない上、たいまつなどの火も使えない。また、ある種の魔法を無効化する結界が存在し、魔法による点灯も不可能である。ゆえに、地下部分の調査は、まったく進展の目処が立っていない。そこには、黒竜の伝説に関する、何かが隠されてるとの伝承もあるのだが・・・
地下を満たす水は、いくら汲み出しても、一向に減らない・・・そのことが逆に、遺跡の謎を解く鍵になりそうだ。
『騎士たちの国 クライツェン』
それは一方的な戦いだった。
我らが勇敢なる騎士たちに追い払われた蛮族は、辺境の地に落ちのび、かつて彼の者の聖域であった塔は、我らが勝利の証としてそびえ立った。
混沌の支配する地に、美しき統制を!
騎士たちは自らを、やがてこの地に秩序をもたらす貴き者の祖と定め、彼の塔に《貴族の塔》の名を刻んだ。
クライツェン貴族の誕生である・・・
-バルクルーサ図書館一階
『クライツェン [最新] 物流事情』
国土の8割が、荒れた山岳地帯である我が国において、主要生産物を鉱山に依存するのは必然である。
産出される良質な鉄鉱石、貴金属、宝石は、国内需要が頭打ちである現在において、他国との貿易に活路を見出すべきであり、そのためには・・・
-バルクルーサ図書館一階
『クライツェン温泉ガイド』
マッカロックの温泉は、その清浄な湧き水と共に全国に知られ、毎年、多くの観光客を・・・
-バルクルーサ図書館一階
禁書『クライツェン原住民族の研究』
貴族たちの祖先である聖堂騎士団が、海の彼方より進行してきた時、すでに、この地には原住民による奇妙な文明が栄えていた。それは、この地で眠る黒竜を目覚めさせない・・・眠りを妨げるものを近寄らせない、という統一された意思の下に成立した呪術的な文明だった。
4つの神殿、2つの聖地、2つの都市で構成された彼らの国は、その相対的な位置関係を見れば、より一層、呪術性が浮き彫りにされて来るだろう。4つの神殿とは、黒竜洞、マッカロック、湖、谷間の各遺跡のことであり、2つの聖地とは《貴族の塔》と《森の島》、2つの都市のひとつは、黒竜洞の深くに眠るとされる未確認の埋没都市、もうひとつは、現在のバルクルーサである。
クライツェンの中心に位置するマッカロックより、北東へ伸ばした線上に黒竜洞、南西へ伸ばした線上にバルクルーサ。この斜めの直線を中心線としてみると、湖、谷間の遺跡と、《貴族の塔》、《森の島》はそれぞれ対称の位置関係にあることが解る。
このように、重要施設の位置と地相の関係において何らかの意味を持たせ、かつ、魔法効果を発動させる手法は我らの魔術体系には存在しない。むしろ、東方の異国で用いられている魔術に近い。風水、あるいは奇門遁甲(きもんとんこう)と呼ばれているものだ。そのことから推察すると・・・
眠りについた黒竜に、幾重にも封印を施して、クライツェンの地そのものを巨大な結界と成したのは、東方の異国の者たちであり、その中から結界の監視者として残された人々が、我らの言う原住民となったのではないか? 言わば、クライツェンの地は黒竜を封じる大神殿であり彼ら原住民は、その神官だったのだ・・・。そのように整然たる秩序を持った地において、我が貴族の祖先たちは何をやったのか? 武力を以って原住民たちを辺境へ追いやり、聖地を打ち壊し、都市を根本から造り変えたのだ。
この破壊が結界に与えた影響は大きい。クライツェン全土に散らばる拠点が、有効に機能し合ってこそ成立する巨大結界は、その時点で力を半減させたと見ていいだろう。なぜなら、原住民たちの変貌が始まったのは、まさに、その時期からだった・・・
(余白に『入るは地上、しかし、出るは地下』という書きこみあり)
-バルクルーサ図書館二階、後にバルクルーサ城地下室で再発見
『クライツェン公国史』
はるか南方より来たる、我が祖先、聖堂騎士団の鉄槌はついに、この地に覇を唱えし蛮族を打ちすえ、神聖なる光をあまねく大地に照らしめ・・・
-バルクルーサ図書館一階
『クライツェン主要遺跡一覧』
1.谷間の遺跡
オールバイン近郊、湿原の北に現存。
調査レベル[B]
2.マッカロックの遺跡
マッカロックの町に隣接。現在、観光地化されている。
調査レベル[A]
3.湖の遺跡
中央大湖に浮かぶ孤島に現存。
調査レベル[C]
4.黒竜洞の遺跡
ドラールの北東、黒竜洞の奥深い地中に現存。
調査レベル[C]
-バルクルーサ図書館二階
『クライツェンの民話』
昔々、この地がまだクライツェンと呼ばれる前のこと。深い洞窟の底に、それは眠 りについたよ。
人々はそいつが二度と再び目覚めない事を、来る日も来る日も、天地の精霊に祈り続けた。
そんな必死の祈りが実ったのかな? しばらくは平和な日々が過ぎてったよ。
そんなある日、東方の異国から、ひとりの予言者がやって来て、こう言ったんだ。
地の底の者を目覚めさせよ。そは大いなる災いをもたらす者。しかして、そは大いなる進化をもたらす者なり。
だけど、人々は誰もその言葉を信じず、石つぶてを投じ予言者を殺してしまったのさ。
それからさらに月日が流れ、みんなが予言のことなど忘れてしまった頃・・・
勇猛な騎士の一団が、海を越えこの地に現れ、瞬く間に全てを支配したんだ。
血を求め、猛り狂う騎士たちは、人々を皆殺しにしようと剣を振るい・・・
抗う術のない人々は、次々に倒れていったよ。
このまま、全てが死に絶えるかと思われた時・・・
人々は気づいたんだ。自分たちの中に、不思議な力が芽生え始めてることに。
その力こそは、かつて災いの元として忌み嫌ったあの者が、永き年月をかけて、人々にもたらした進化だった。
-バルクルーサ図書館一階、シノブ、カイエス合流後に返却される
【Kab さんより情報、およびデータを頂きました。感謝】
禁書『黒竜信仰と古代文明の遺産』
クライツェンに残る古代人の遺構は以下のごとく分類される。
《谷間の遺跡》《マッカロックの遺跡》《湖の遺跡》《黒竜洞の遺跡》の、4つの遺跡。
《貴族の塔》《森の島》の、2つの聖地
《バルクルーサ》《ザルド》の、2つの古代都市
これら遺構の、相互の位置関係やそれぞれの役割は、すべて眠れる《黒竜》を封印する意思の元に造られている。その個々の役割を、発掘された石版などの古代文字から探ってみたい・・・
おおまかに定義すれば、4つの遺跡は大地の守りを、《森の島》は海の守りを受け持つものである。《黒竜》の存在は、たとえそれが眠っていても、存在するというだけで、様々な影響を周囲に及ぼす。微弱な波動の流出、魔物の跳梁などの減少を押さえるため、大地と海の守りを置いたのであろう。ただし、《森の島》にあったと思われる遺構はすでに失われており、現在、海の安全性においては、一抹の不安を拭い得ない。
中略
《黒竜》の眠りを守るための封印は3つ・・・ひとつは黒竜洞にある《封印の門》と呼ばれる巨大な黒水晶。ひとつは《貴族の塔》の屋上にある石盤。だが、第三の封印に関しては、古代人は何ら語っていない。あらゆる古文書、石盤を調査したが、現在のところ手がかりになるようなものは未発見である。
中略
2つの古代都市の調査は完全に行き詰まっている。古代バルクルーサは跡形も無く消失し、ザルドに至っては、誰も、たどり着くことさえできないからだ。ただ、推測するに・・・古代バルクルーサが高所に建造されたのは、黒竜の波動対策であるのは間違いなく、また、ザルドが黒竜洞の深くにあるとされるのは、黒竜の寝所を守る最終防衛機構の役を担ってると見ていいだろう。一部の古文書の語るところでは、この地下都市には、4つの遺跡や封印を作り上げたものたちの遺骸が眠り、様々な古代の秘宝を守護してるという・・・
-バルクルーサ図書館二階, 後に難破船の入り江で再発見
『黒竜洞探査報告』
巨大な・・・あまりにも巨大な黒水晶が道をふさいでいた。伝承では、この奥にこそ、黒竜の住処があると言う。だが、道はここで行き止まりだ。
我々は、黒水晶で閉ざされたこの通路に、怨嗟を込めてこう命名した。
《封印の門》と・・・
-バルクルーサ図書館二階
『黒竜の伝承』
《黒竜》は、はるか昔、どこからともなくこの地に現れ眠りについたとされる伝説の竜だ。
黒竜胴の深くに棲んでいるといわれるが、その実物を見たものは無く、存在は立証されてない。
各地に残る遺跡で見つかった石版が語るところによると・・・
(以下の頁は検閲により抹消。本来は「《黒竜》の波動は地を這うように進み、低い場所のみを襲う・・・」と続く)
-バルクルーサ図書館二階
『古代言語学』
・・・これらの共通性から類推するに、各地で発見された古代文字は、東方の異国で用いられてる言語をルーツとして発展したものではないかと・・・
-バルクルーサ図書館二階
禁書『古代高等魔術調査報告』
《スーパーボール》
術者の眼前に金色の光球を作り、対峙する相手に投げつける。
《ワルキューレ》
電光の矢を放つ『天使』を召喚する。
《スターレイン》
術者を包む光の柱を作る。
天空に立ち登った光は、雨となって地上に降り注ぐ。
《盤船》(いわふね)
一部の古文書では、究極の魔法と記されているが、その効果は資料皆無のため不明である。
-バルクルーサ図書館二階, 後に谷間の遺跡で再発見
『山上都市計画』
古代都市の遺跡が、なぜ、このような高所にあったのかその理由は不明だが、黒竜洞、および、残り3つの遺跡との相対的な位置関係から、何らかの宗教的な意味が込められていたとの見方もある。
XXXとしてこの地に現れた、貴族たちの祖である騎士団の面々は、いったい、何に脅え、何を隠そうとしたのだろう? 古代都市の痕跡は抹殺され、バルクルーサという新しい都市が完成し、数百年の歳月が過ぎ去った。・・・今となってはすべてが推測の域を出ない。
(XXXの部分は「侵略者」、検閲により抹消されている)
-バルクルーサ図書館二階
『覇者と女帝』
クライツェンの成立した時代・・・かつて、争いの絶えなかったあの時代には、現在では考えられぬほど強力な武器防具が製造されていた。それらの装備品には「覇王」もしくは「女帝」の名が冠され、選ばれた騎士たちに、その大いなる力を与えたのである。しかし、それらの製造技術は失われ、わずかに文献の中にのみ、その名を留める現状は・・・
-バルクルーサ図書館二階
『武器商人の心得』
魔物の中には武器の通用しないものがいる。影の兵士、骸骨の兵士・・・これらは、剣で倒すことは不可能だ。お客様には、これらの魔物とであったなら即座に逃げるよう説明し、重ねて注意を促しておくべきだろう。しかし、お客様が魔法の使える方、もしくは魔法使いを仲間にしてる方だった場合、エンチャントを使用して剣に魔法を付与し、これらの魔物と戦うことを薦めよう。むろん、魔法だけを使っていても影の兵士は倒せるのだが、そのことを伏せておくことが、商品の売上に繋がってくれる・・・
-バルクルーサ地下牢第二号房
禁書『幻の武器/防具 その伝承に関する考察』
以下に記述する武器、防具は、いずれもその存在が確認されてないものである。
- 《ブレードスターライト》
- 《夜半楽》
- 《クリスナイフ》
- 《盾無の鎧》
- 《堕天使のコルセット》
- 《石の王》
これらは古文書や石版、民間伝承の類にのみ、その名を残す。具体的な効果や使用法は、伝承を手がかりに推察するしかない。以下の解説もまた、推測であることをお断りしておく。
《ブレードスターライト》
神の如き速さを得られる。
《夜半楽》
(やはんらく)
コドクチュウの魔法を使用できる。
《クリスナイフ》
使用者の呪力を高める。
《盾無の鎧》
(たてなしのよろい)
東方の異国で造られた最強の鎧。
《堕天使のコルセット》
沈黙の魔法を防ぐ副装品。
-バルクルーサ図書館二階、後にソーホゥの村で再発見
『錬金書 スマラグディナ』
汝、書にえらばれし者よ。汝が疑問に答え、今ここに、有り得ぬ頁を示さん。
第XX分類XX条 特記事項
黒竜ライ・ベルン
[Leib-Bern]
コハクの生命
始めにして終わり。彼こそは黒なるものであり、竜としておのれ自身を飲み込み、竜として死に、石として蘇る。混沌と生誕をもたらすもの、これ即ち神の眷属なり。そは、この世の全てを知るものにして倒すこと敵わず。ただ、この世にあらざるもののみが、そを滅する。
-貴族の塔地下空洞